あなたのうちの子を紹介しませんか?
うさびと

いつかは“うさぎ派”を作りたい!30人以上の作家とともに歩む、三方良しの「うさぎ雑貨店」

rezityo

「作家さんは、“我が子”を託してくださるようなもの。だから、私は全力でその子たちの魅力をお客様に伝えます」

そう笑顔で語ったのは、東京・吉祥寺のうさぎ雑貨店『とにかくうさぎが好き』店主のいいだ えみさん。全国30人以上の作家による作品を、年間約1,000人ものお客様へ届けています。

お店に訪れると、 作家の想いをお客様に届けるための工夫と信頼が、積み重ねられているのを感じます。作る人と受け取る人、その橋渡し役を務めるのがいいださんです。

今回はいいださんに、うさぎ雑貨店開業の経緯や、作家との信頼関係をどう築いてきたのかを伺いました。作家とお客様をつなぐお店の、あたたかな物語をお届けします。

いいだ えみ
新卒から約20年販売員を経験。雑貨屋オープンの夢を胸に、東京都が店舗運営や販売の機会を提供するチャレンジショップ『創の実』に挑戦。2023年、生まれ育った吉祥寺でうさぎ雑貨店『とにかくうさぎが好き』を開業。現在は雑貨店を運営する傍ら、3羽の愛兎との暮らしを楽しんでいる。

「うさぎさんに関わるお店を持ちたい」。チャレンジショップをきっかけに夢が花開く

20年以上販売員をされていたといういいださん。お店を持ちたいと思ったのはいつ頃だったのでしょうか?

れじちょ
れじちょ

幼いころから、洋服屋を営む母の背中を見て育ったので、自分もいつかお店を持てたらいいな、と思っていました。

でも、当時はどんなお店にするのかまではイメージできていなくて…。あるとき、愛兎のもなかちゃんを飼い始めたのがきっかけでうさぎ好きになり、「うさぎさんに関わるお店を持ちたい」と思うようになりました。私自身も兎年で、うさぎさんとは何かと縁を感じていたんです。

いいだ えみ
いいだ えみ
店頭では、愛兎もなかちゃんの特大パネルがお出迎えしてくれます。

もなかちゃんを迎えたときから、うさぎ好きになったのですね。そこから実際に開業に踏み出そうと思ったきっかけは何だったのですか?

れじちょ
れじちょ

東京都のチャレンジショップ『創の実』に応募して受かったのがきっかけです。それまでは、お店を開くことを空想しながらも、なかなか一歩は踏み出せていなくて。

ただ、やってみたいという思いは強く、「いつかお店をやりたい」と周りの人に話していたんです。そんなある日、とあるカフェのオーナーから、「それっていつやりたいの?」と聞かれて。

何気なく、「50歳くらいまでにはやりたいかな…」と答えたら、「あと3年しかないじゃん」と返されてハッとしました。「そうだ、もう3年しかないんだ!」って。

そのタイミングで偶然にもチャレンジショップ『創の実』の話が舞い込んできました。『創の実』では、サポートを受けながら店舗運営や販売の経験を積むことができるんです。それに応募したところ、選出していただいたことで、開業に踏み切りました。

とにかく夢を思い描きつづけ、日頃から周りの人にやりたいことを話していたことで、チャンスを手繰り寄せることができたと感じています。

いいだ えみ
いいだ えみ

最初の一歩は、「あなたの作品のファンです」と思いを伝えるところから。

「うさぎさんがひょっこり出てくる」空間を目指した内装。壁には空が、床には人工芝が広がり、原っぱで日向ぼっこをしているような雰囲気です。

いざ開業するとき、作家さんたちにはどのように声を掛けていったのですか?

れじちょ
れじちょ

まずは、自分がファンになった作家さんに声を掛けさせていただきました。実は、お店を持つことを夢見ていたころから、「開業したらあの作家さんの作品を置きたいな」「お店はこんな雰囲気にしたい」と、密かに思いながら作品を購入したり、作家さんとお話ししたりしていたんです。

最初に声を声掛けるときは、「断られたらどうしよう…」と不安でしたが、次第に「断られたとしても、まずは作品を置かせてほしい、という自分の気持ちを伝えることが大切だ」と考えるようになったんです。

真摯に思いを伝え続けてきた結果、ありがたいことに『創の実』時代には5人の作家さんにご協力いただけました。独立してからはさらにご縁が広がって、現在は30人以上の作家さんの作品を置かせていただいています。

いいだ えみ
いいだ えみ

たくさんの作家さんの作品を取り扱っているのですね。作家さんとのやりとりで大切にされていることはありますか?

れじちょ
れじちょ

作品を購入したお客様の様子や、やりとりを具体的にお伝えするようにしていますね。

作家さんが一番知りたいのは、どんなお客様に作品が届いているかだと思うんです。お客様が作品を手に取る瞬間にはなかなか立ち会えないので、その瞬間が想像できるように購入されたお客様の特徴や反応をお伝えしています。

お客様が作品を身に着けたところを撮影して作家さんに送ると、「この写真を保存して作品作りの励みにする!」と喜んでくださることも。作品作りは孤独な作業なので、お店での出来事を伝えて少しでも喜びを共有できればと思っています。

いいだ えみ
いいだ えみ

単に作品を販売するだけでなく、コミュニケーションを通して作家さんとお客様をつないでいるんですね。そういったやりとりの積み重ねが、信頼関係を構築するんだと改めて感じました。

れじちょ
れじちょ

雑貨屋さんは、作家さんとの信頼関係があってこそ成り立つものだと思っています。作家さんが生み出した作品は、我が子のように大切なはず。それを預かる者として、丁寧に扱うのはもちろん、より可愛く魅力的に見えるように販売するのが私の仕事だと思っています。

いいだ えみ
いいだ えみ

お客様との会話も「うさぎ愛」でつながる

ちなみに、お客様とはどんな会話をされているんですか?

れじちょ
れじちょ

やっぱりうさぎさんのお話をよくしていますね。お店に来るお客様はほとんどがうさぎさんを飼われているか、昔飼っていた方が多いので。皆さん嬉しそうに「うちの子」の写真を見せてくれるんですよ。

私自身、お客様のうさぎさんがどう過ごしているのか気になるので、近況報告をしてもらえるのが嬉しいです。お客様が飼っているうさぎさんの名前は自然と覚えていますね。

いいだ えみ
いいだ えみ

楽しそうですね!うさぎ飼い同士、いろいろな情報が飛び交っていそうです!

れじちょ
れじちょ

そうですね。うさぎさんについて詳しいお客様が多いので、私自身も勉強になっています。お客様はみんな、うさぎさんについての先輩なんです。

たとえば、愛兎のもなかちゃんはかなり高齢になってきていて、介護の必要が出てきたり、気を付けなきゃいけないことが増えてきたりしています。そんなときに、同じように高齢のうさぎさんを飼っているお客様からアドバイスをもらえるのが、とてもありがたくって。

お客様とのやりとりから得られた情報は、同じ悩みを抱えているほかのお客様にも共有することもあります。今は簡単に情報を調べられますが、体験談を直接聞けるのはすごくためになるし、説得力があるんですよね。生の情報を共有できる場として、お店が機能しているんです。改めて、本当にこのお店を開いて良かったなと思っています。

いいだ えみ
いいだ えみ

「犬派?猫派?」に「うさぎ派」が並ぶ世界線を目指して

開業の夢を叶えた今、いいださんがこれから挑戦したいことはありますか?

れじちょ
れじちょ

今後はワークショップをやりたいです。過去に、近くのスペースを借りて実施したことがあるのですが、作家さんからも参加していただいたお客様からも、楽しかったとお声をいただいたので。

あとは、カフェを開きたいな。今のお店では立ち話が限界ですが…将来的には今よりもゆとりのあるお店でコーヒーをお出ししたいですね。

いいだ えみ
いいだ えみ

カフェですか! ゆったりくつろげそうですね。

れじちょ
れじちょ

そこには雑貨に紛れて本物のうさぎさんも居て。コーヒーを飲んでホッと一息つきながら、足元を駆け回るうさぎさんを眺められたら…最高じゃないですか。

そんな空間を実現するために、2号店を持ちたいと思っています。2号店の名前は…『やっぱりうさぎが好き』ですかね(笑)。

いいだ えみ
いいだ えみ

3号店以降も『それでもうさぎが好き』なんて続いていきそうですね(笑)。今後作家さんと一緒にやりたいことなどはありますか?

れじちょ
れじちょ

Tシャツなどのオーダー品や、『とにかくうさぎが好き』とのコラボ商品を展開したいです。今は小さなお店なので店頭に置ける商品の数には限りがあるため、色やサイズなどがご希望に添えないことがあります。でも、オーダー品なら店頭に置かなくてもできますし、お客様のニーズにもぴったり合うものが提供できます。

実際に作家さんに直接オーダーするとなると、「ハードルが高くて依頼しにくい」と考えているお客様が多いはずなので、そこを私がつなげられたらいいですね。

お客様は欲しい商品を買えて嬉しい。作家さんも自分の作品がお客様に届いて嬉しい。私も作品が売れて嬉しい。この三方良しの関係を、これからも大切にしていきたいです。

いいだ えみ
いいだ えみ

最後に、作家さんやお客様にメッセージをお願いします。

れじちょ
れじちょ

うさぎ界隈は、まだまだ小さな世界です。いつかは犬派、猫派、うさぎ派となるような新たな価値観を浸透させたいです!

うさぎさんのかわいさに気付いていない人は、まだまだたくさんいると思っているので、「うさぎってかわいいじゃん!」と思ってもらいたい。

そのためには、うさぎ好きのみんなで手を取り合い、一緒に盛り上げていく必要があります。私にできることは、素敵な作品を生み出す作家さんとお客様をつなげる“橋渡し役”でいること。これからもそんな存在でいられたら嬉しく思います。

いいだ えみ
いいだ えみ

“うさぎが好き”を真ん中に、人と人、そして人とうさぎさんがつながる場所。『とにかくうさぎが好き』は、そんなやさしい循環が巡る雑貨屋です。

うさぎさんの魅力を伝えたいいいださんと、ものづくりに想いを込める作家、そして、作品を手に取って笑顔になるお客様。『とにかくうさぎが好き』はみんなをつなぐ雑貨店として、これからもあたたかな物語が紡がれるみんなの居場所となるでしょう。

3周年イベント開催中!

『とにかくうさぎが好き』は2025年6月9日に3周年を迎えました。イベント期間限定の作品オーダーやコラボ商品が展開されています。詳細は公式HPやXをご覧ください。

吉祥寺にあるとっても小さなお店ですが、店内にはうさぎ愛が溢れています。うさぎさんの隠れ家に向かう気持ちで、ぜひ足を運んでみてください。

『とにかくうさぎが好き』の公式HPはこちら
X / Instagram

うさぎ雑貨のお店『とにかくうさぎが好き』
〒180-0004
東京都武蔵野市吉祥寺本町4丁目14-15 スワンハイツ
JR総武線吉祥寺駅北口改札より、徒歩約11分
定休日:毎週火曜日・水曜日
営業時間:11:00~18:00

〈取材・文=れじちょ/編集=ぱんいしかわゆき

あなたもインタビューを受けてみませんか?
うさびと図鑑インタビュー募集
うさびと図鑑インタビュー募集

送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!
ABOUT ME
れじちょ
れじちょ
うさぎライター
とにかくうさぎが好きで、うさぎカフェに回数券で通ってる人。 沢山の人を取材して、いつか「うさびと図鑑」を出版したい。 愛犬ミックスのハチ、愛兎ミニウサギのいちご、お月様組
記事URLをコピーしました