愛したうさぎさんをもう一度この手に。ペットロスを癒す羊毛フェルト教室「アトリエモンレーヴ」

ペットとの別れは、誰にとっても簡単に乗り越えられるものではありません。
愛兎との別れをきっかけに、「自分の手で“うちの子”をもう一度この手に抱きたい」そんな想いから羊毛フェルトの世界に飛び込んだ幸先生。現在は名古屋市にある古民家を改装した『アトリエモンレーヴ』で、羊毛フェルト講師として“うちの子”作りをサポートしています。
想いに導かれて始まった創作の日々や、作品づくりへのこだわり。そして教室に込めた想いとは。大切な“うちの子”との再会を願う方へ向けて、その物語をお届けします。

Needlefelt幸(ゆき)先生
一般社団法人 日本うさぎ羊毛フェルト協会® 認定講師・作家。名古屋市にて羊毛フェルト教室『アトリエモンレーヴ』を主宰。ブライダル業界に長年従事した後、愛兎「ユキ」との別れをきっかけに羊毛フェルト制作を始める。現在は「“うちの子”を、この手で作りたい」という飼い主さんたちの想いに寄り添いながら、少人数制で教室を運営。リアルな表現と細部へのこだわりを大切にした作品づくりを行っている。
自分にしか作れないリアルな“うちの子”をもう一度この手に。羊毛フェルトの世界へ

羊毛フェルトを始めたのはどんなきっかけだったのでしょうか?

最初は愛兎のユキとの別れがきっかけでした。ユキが旅立ったあと、深いペットロスに陥ったんです。仕事はこなしていましたが、ふとした瞬間に涙がこぼれるような日々が続いていました。
「もう一度幸に会いたい」そんな気持ちが心の底から溢れていました。そんなある日、ふと立ち寄った本屋で羊毛フェルト作家の畑先生の本「リアルかわいい羊毛フェルトのうさぎ」が目に留まったんです。見た瞬間に「これだ!」と思い、すぐに購入して、巻末の教室案内を見て即申し込み。
教室は横浜にあり、名古屋から横浜まで、新幹線で往復約3時間掛けて通いました。後半は泊まりがけで2日間レッスンを受講したこともありましたね。

往復3時間は大変ですね、なぜそこまでの情熱が生まれたのでしょうか?

やはり“自分の手でユキを作りたい”という気持ちがとても強かったんです。もちろん、人に作ってもらうことも考えました。でも、自分にしかわからない細かな模様や表情の癖があるんです。だから自分で作りたい、という気持ちが自然に湧いてきたんです。
羊毛フェルトは未経験。手芸もほとんどやったことがなかったですが、畑先生が褒め上手で楽しかったですし、手元にユキができあがっていくのが嬉しくて夢中になっていきました。

“うちの子”をこの手で作りたいという気持ちが原点なのですね。他にも“うちの子”を表現する方法はあると思いますが、羊毛フェルトを選んだ理由はなんですか?

「“うちの子”が本当に帰ってきてくれた」と感じられる本物そっくりのリアルさに惹かれました。確かに他にも表現方法はあると思いますが、実際に毛が生えているような毛並みの表現という点では羊毛フェルトが一番です。

ウエディング業界からキャリアチェンジ、協会最初の認定羊毛フェルト講師に

教室に通い始めてから、講師になるまでにはどんな日々があったのでしょう?

最初は「“うちの子”をリアルに作れたらそれでいい」という気持ちだったんです。ですがさまざまな偶然が重なり、羊毛フェルト講師の道を歩むことになりました。
教室で一緒に学ぶレッスン生の皆さまの中には「かわいい羊毛フェルトのうさぎを作れるようになって販売したい。」と明確な目標をお持ちのかたもいました。そんな熱量の高い仲間から刺激や創作意欲をもらったんです。
その頃教室の日本うさぎ羊毛フェルト協会®自体もちょうど成長期にあり、新たに作品の販売ができるお免状が貰える「作家コース」と、作品の作り方を教える講師になれる「講師コース」が創設。
「作家コース」は他の生徒さんと一緒に流れに乗るように進んだんです。そのあと「講師コース」もでき、講師になるかならないかはわからないけど、「とりあえず受講しておこう」と、安直な動機で取得した講師資格がその後の新たな道を開かせることになりました。
一方当時の私はウエディング業界で仕事をしていたのですが、仕事への向き合い方に複雑な感情を抱いてきました。
新郎新婦さんたちは夢いっぱい。でも私はだんだん親のような気持ちになってきてしまって…お金をかける優先順位など、つい現実的なアドバイスをしてしまいそうになり自分はもうこの世界で“夢を売る”プランナーではいられないかも…と感じ始めていました。
そんなタイミングで、勤務していたサロンの縮小が決まり、その場所を借りて、少人数の教室を始めたんです。さらに弟から「古民家のスペースが空いているから2階を使っていいよ」と言われて。そこが今の『アトリエモンレーヴ』のスタートでした。現在はサロンの拠点は閉じて、古民家のアトリエ一本で活動しています。

なるほど、まるで導かれるように流れがつながっていったのですね。

そうですね、私はもともと、「こうなりたい!」と荒波に飛び込むタイプじゃなくて。後ろから吹いてきた風にふわっと乗ってここまで来たような感覚です(笑)。でも今はとても自然な形で、講師としてこの場にいられるのかな、と思います。

約20種の羊毛に本物の毛を混ぜて。羊毛フェルトへのこだわり
講師になるまでに、どのような作品作りを重ねてこられたのですか?

「最初はカリキュラムに沿った作品を中心に作っていました。でも、自主的に練習もしていて。たとえば“スマホケースにうさぎさんの顔を植毛する”という課題作品があったんですが、そのときは自主的にケースを20個買って、全部に植毛しました。

20個…!すごい数ですね、うさぎさんの顔を作るのにこだわりがあるのでしょうか?

やっぱり顔の印象で作品の魅力が大きく変わるんです。練習すればするほど難しさを感じますし、もっと良くしたいという気持ちが強くなります。
素材にもこだわっています。もう一匹の愛兎「美海子(ミミコ)」の作品を作った時には、18種類の羊毛と、本物の毛も混ぜています。羊毛だけだと湿気で縮れたりしますが、本物の毛が入ることでハリが出るんです。


他にも耳の血管や軟骨の表現、耳毛の質感など、細部への追求をしています。研究している時間そのものがとても楽しいんです。でもこだわればこだわるほど制作時間も長くなってしまって…。そのあたりは常にいい落としどころを探していますね。

『アトリエモンレーヴ』は、うちの子を作るあなたのために

『アトリエモンレーヴ』は、どんな空間なのでしょう?

もともとは日本家屋だったのですが、それを西洋アンティーク調に改装しました。家具や小物もできるだけ洋風に統一していて、“非日常感”を大切にしています。プラスチックや電化製品など、日常感のある物は最小限にひかえ、日常を忘れ没入できる空間です。
羊毛フェルトの制作は集中力が必要ですから、のんびりとリラックスしながら取り組める空間づくりを心がけています。そんな雰囲気の中、1人〜3人程度の少人数でじっくり向き合いながら作品作りに取り組んでいただいています。
日常から少し離れて、大切な子のことだけを考える。そんな時間を過ごしていただけるようにしています。

素敵ですね。これから習ってみたいという方に向けて、何かメッセージはありますか?

あまり構えすぎず、気軽に来ていただけたら嬉しいです。もし“違うかな”と思ったら、やめてもいいと思います。大事なのは、“うちの子を作りたい”という気持ち。それが一番の原動力になりますから。
“うちの子”への愛情を一番込められるのは、やっぱり飼い主さん自身です。その作りたい気持ちを私は技術面でお手伝いしたいと思っています。


大切な“うちの子”への想いを、この手で形にできたなら。羊毛フェルトは、そんな願いをかなえてくれるものづくりの世界です。
『アトリエモンレーヴ』は、初心者の方でも安心して一歩を踏み出せる場所。愛情を込めて、“うちの子”をこの手で作る喜びを、あなたも味わってみませんか?
お試しで学べる体験レッスンがありますので、気になった方は是非、公式HPからお問い合わせしてみてください。
『アトリエモンレーヴ』の公式HPはこちら
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